慢性症状と鍼灸~根本改善への多角的アプローチ~
鍼灸が慢性症状に効果的な理由
慢性症状は、急性症状とは異なり、単一の原因で起こるのではなく、身体の様々なシステムが関与していることが多くあります。鍼灸は、以下のような多角的なアプローチで慢性症状に働きかけます。
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自律神経のバランス調整
現代社会ではストレスが多く、交感神経が優位になりがちです。これにより、慢性的な緊張、疲労、睡眠障害、消化器系の不調などが引き起こされます。鍼灸は特定のツボを刺激することで、副交感神経を活性化させ、心身をリラックスさせる効果があります。自律神経のバランスが整うということは、全身の機能が改善し、慢性的な不調も軽減されるのです。
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血流の改善
慢性的な痛みや凝りの多くは、局所の血行不良が原因とされています。血行が悪くなると、筋肉に老廃物が蓄積され、痛みやだるさを引き起こすことがあります。鍼灸の刺激は、血管を拡張させ、血流を促進する作用があるため、患部の酸素や栄養の供給が改善し、老廃物の排出を促し、組織の修復が早まります。
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鎮痛作用
鍼灸の刺激は、脳内でエンドルフィンやセロトニンといった鎮痛物質の分泌を促進します。これにより、痛みの信号が抑制され、痛みが軽減されます。また、筋肉の過剰な緊張を緩和する効果もあり、その結果、神経への圧迫が軽減され、痛みが和らぐこともあります。
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免疫機能の向上
鍼灸は白血球の活動を活性化させ、身体の防御機能を強化する効果も期待されています。免疫力が向上することで、病気になりにくい体質づくりにも繋がります。
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自然治癒力の促進
鍼灸は、身体が本来持っている自然治癒力を最大限に引き出すことを目指します。体内の「気・血・水」の巡りを整え、全身のバランスを調整することで、根本的な体質改善を促します。
鍼灸が効果的な慢性症状の例
鍼灸が効果的とされる慢性症状は非常に多岐にわたります。代表的なものとしては、以下のような疾患・症状が挙げられます。
- 運動器系の痛み:
慢性腰痛、肩こり、五十肩(肩関節周囲炎)、膝の痛み、変形性関節症、神経痛(坐骨神経痛、三叉神経痛、肋間神経痛など)、腱鞘炎、テニス肘、寝違えなど
- 神経系の症状:
頭痛(片頭痛、緊張型頭痛)、めまい、耳鳴り、不眠症、自律神経失調症、顔面神経麻痺など
- 消化器系の症状:
慢性胃炎、胃腸の不調(消化不良、胃酸過多、下痢、便秘)、過敏性腸症候群など
- 婦人科系の症状:
生理痛、月経不順、更年期障害、冷え性、不妊症など
- その他:
眼精疲労、冷え性、慢性疲労、アレルギー性鼻炎、喘息、高血圧、低血圧など
治療の期間と頻度
慢性症状の場合、軽度の症状であれば数回の治療で改善が見られることもありますが、長期間にわたる症状や重い症状の場合は、数ヶ月にわたる継続的な治療が必要となることもあります。一般的には、症状の改善度合いに応じて、週1~2回から始め、徐々に間隔を広げていくのが一般的です。
まとめ
鍼灸治療は、単に症状を抑えるだけでなく、身体全体のバランスを整え、根本的な原因にアプローチすることで、慢性症状の改善に高い効果が期待できます。西洋医学的な治療ではなかなか改善しない症状や、薬に頼りたくない、副作用が心配という方にとって、非常に有効な選択肢です。
ご自身の慢性症状でお悩みで、鍼灸治療の経験がなく、興味があってもなかなか勇気がでない方には当院で無料で行っている「体験会」がオススメです。当院の施術室で症状に対する治療方法の説明や鍼・灸の体験などを行っていますので、気軽にお問い合わせください。
(文/浦田舞子)