2021-06-10

五十肩と鍼灸

今回は肩の代表的な疾患の「五十肩」についてお話し、実際の治療の様子を紹介いたします。

五十肩とは

50歳前後を中心に好発しやすく、肩に強い痛みが生じ、次第に肩関節の可動域制限をもたらす疾患の総症です。日本では「肩関節周囲炎」と同義語として使われています。
発症の原因はまだ分かっていませんが、糖尿病や甲状腺疾患、デスクワーク等の環境因子が関係していると言われています。

五十肩の症状

炎症期:肩周りの強い痛み
前触れなく肩周りに痛みが生じることが多く、次第に痛みは強くなります。安静時痛や夜間痛を伴うこともまれではありません。

拘縮期:肩関節の可動域制限
痛みが少し緩和されると、肩関節の動きが硬くなる『拘縮(こうしゅく)』が起こってきます。腕が上がりにくくなり、洗髪や洗顔、服の着脱動作が困難になるなど、日常生活に支障が出ます。

回復期:症状の改善
この時期になると痛みはほとんどなくなり、肩関節の可動域も徐々に改善してきます。疼痛、可動域の制限の順で改善していくまで12~42ヶ月要するというデータもあります。

 

鍼灸治療の介入

当院を五十肩で来院される方の多くは「強い痛みが何ヶ月も続いて困っている」という炎症期の方です。この時期に不適切な運動をすると逆に症状が悪化する可能性があります。炎症期が長く続けば、肩を動かせない期間も長くなる為、拘縮のリスクは高まり、肩周りの運動機能も低下しやすくなります。この痛みをコントロールしてあげることが早期回復へと繋がっていきます。

鍼やお灸の刺激は脳や神経の中枢に働きかけ、痛みを抑制するとされています。痛みの症状が長く続くと身体はストレスを感じ、自律神経の調節が乱れ、血行不良も引き起こしますが、鍼灸治療は自律神経の調節や血行改善にも効果的とされています。

肩・首周りに鍼を刺鍼している様子

心地よい温かさの箱灸で背部を温めている様子

実際に治療へ来られた方からは「鍼灸治療を受けてから痛みが緩和してきました」というお声をいただいています。強い痛みが治まれば、拘縮期・回復期へと移行し、痛みをコントロールしながらリハビリなど肩の運動機能訓練を行うことで症状は徐々に改善していきます。

 

一人ひとり体格も違えば生活スタイルも違います。当院はその方の症状に合わせた治療を提供していますので、五十肩で困っている方はぜひ一度ご相談ください。

(文/浦田舞子)

関連記事